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■ここ最近の相場は、変動率(ボラティリティ)が高止まりしているせいか、先週末金曜日(11月7日)の米国雇用統計の後の動きが非常に緩慢に感じられました。
東京時間午後10時30分に発表になった、米10月雇用統計において失業率が14年ぶりの高水準、非農業部門雇用者数が予想を上回る幅の減少を示しました。
指標発表直後の反応は、対円でのドル売り、そして、クロス円相場(ユーロ円、ポンド円等)の売りとなりました。
つまり、雇用統計ほどの重要な米経済指標が悪化したところで、単純にドル全面安と言う展開にはならなかったのです。
ドル円相場だけを見ていると、確かに、米経済指標の悪化でドル安、改善でドル高という動きとなる傾向がありますが、欧州通貨や資源国通貨等の動きは、ほとんど全てがクロス円相場の動きの中で反応する傾向が相変わらず強いようです。
ここまでクロス円相場主導の展開が続く為替相場というのも、24年に亘って外国為替市場に直接関わってきた私にとっても、かつてはあまり考えられなかった状況と言えます。
■確かに、「円キャリートレード」のことが頻繁に取り上げられるようになってそう何年も経たないのですが、昨今の為替市場では当たり前のようになっているようです。
世界中の短期金融市場にてドルの流動性問題が依然として解決しておらず、金融機関などがドルを調達する為に、為替を利用するという状況が続いています。
アイスランドでの円建て住宅ローンなど、金利差を利用した円売り外貨買いという取引が様々な形で世界中に蔓延したあとの後処理が続いているとの解説も聞こえてきます。
世界的に株価が大幅に下落する中で、各層の投資家が自らのリスク許容度を減らしたことが原因となって、今まで行ってきた上記のような金利差を利用した取引の手仕舞に向かっているというのも、言われてみればそうなのかなと無理に納得させられているのが実情のようです。
私は、ドル資金調達という実需に基づく取引も含めて、結局は、様々な思惑が絡んでおり、その結果、円キャリートレードに関連する動きそのものが、市場での「ファッション」と化していると考えても言い過ぎではないと思っています。
つまり、最近の外国為替市場では、円キャリートレードの巻き戻しが、依然として話題になるほど、相場要因として「ファッション化」しているということです。
■ところで、外国為替市場では、昔から、常にその時々の「ファッション」を探し求める傾向があります。
ある時期は「マネーサプライ」、ある時期は「米貿易収支」や「日米通商問題」、ある時期は、「GDPや雇用統計」など純然たる景気指標等々、この20数年の間だけでも、コロコロと変遷してきました。
そして、この数年は、「金利差」「円キャリートレード」「株価動向」「ドル流動性問題」に焦点が移っているわけです。
もっとも「100年に一度の危機」とまで形容されるほど、世界の実態経済の疲弊ぶりがクローズアップされているのも事実です。
それが原因となる「信用収縮問題」がさらなるリスク許容度の縮小に繋がりかねないとの思惑から、為替市場では円買い圧力が執拗に続くとの観測記事が目立つようになっているわけです。
■ここで考えられることは、恐らく多くの企業経営者にとって、今後の為替相場の動向が大きな関心事であることです。
要するに、さらなる円高リスクはあるのか、ないのか、まさに企業存続の死活問題であるわけです。
この議論は、一般的に輸出企業を対象としたものですが、1995年当時に、1ドル=80円を迎えた当時も、円高が原因となる「円高不況」到来かとよく話題になったものです。
そもそも、自国通貨の為替レートいうのは、よほど暴落でもしない限りは、ある程度安いレベルで推移してくれた自国経済にとっては有利であるのがマクロ経済的に見て論理的と言えるのです。
いずれにしましても、為替レートが数年単位でどのように推移するのかをどう判断するかは、企業経営者にとっては大きな経営課題であるわけです。
■一方で、為替レートそのものを取引対象とする個人投資家にとっては、数年単位で為替がどう推移するかを予想することはほとんど意味がないと、私自身は思っています。
中には、数年単位で外貨預金を行って、利息収入を狙う個人投資家もおられるでしょうが、こと外貨証拠金取引となると、レバレッジが効いているだけに、外貨預金のように悠長なことは言ってはおれません。
ということで、私の考えは、外貨証拠金取引を行う個人投資家にとっては、数週間程度先の動きが読めるならほとんどのケースで充分過ぎるのではないかということです。
そうは言っても、1年に何回かのトレードだけで充分とする、円キャリートレードに興味がある投資家もおられるとは思います。
しかしながら、昨今の相場変動を前に、多くの自称「長期投資家」が自らの投資戦略の見直しを迫られているのも事実です。
■ところで、外貨証拠金取引には、一日の中で完結する「デイトレード」、数日間から1週間程度で完結する「スイングトレード」、1週間以上に亘りポジションをキープする「ポジショントレード」等があります。
「短期トレード」や「中長期トレード」という言葉もありますが、はっきり言って、非常に曖昧な表現です。
人によっては、数週間に及んでポジションを取ることさえ「短期トレード」と呼ぶかもしれません。
早い話が、短期であろうと、中長期であろうと、それはあくまでこちら「投資家」サイドが勝手に呼んでいるだけであって、相手サイドである「マーケット」サイドにとっては、延々と続く相場の一コマに過ぎないのです。
そもそも、相場で張っているポジションには、短期、中期、長期などという色分けはありません。
まして、スイングトレードやポジショントレードなどという「造語」とは何ら関係なく、相場は継続して動いているわけです。
■さて、突然、話は飛びますが、歴史的円高値である1ドル=79.75円を付けたのは、1995円4月19日でした。東京時間の日中でした。
私は、当時、シティバンク東京支店の外国為替部長として、為替トレーディング部門を統括していました。
歴史的な円高値を付け続ける為替相場を前に、いつものことながら、ディーリングルームは騒然としていました。
私は、ディーリングルームが超多忙になったことから、ヘッドの立場ながら、ドル円チーフディーラーに代わって、ドル円チーフの席に座りました。
自ら、ドル円デスクの指揮を執ったわけです。
そして、目の前のオーダーボード(顧客からの注文画面)には、80円以下に大量のロスカットオーダー(損切り注文)が控えているのが分かりました。
まさに、ドル暴落のムードが漂っていたわけです。
正直、心臓の高鳴りを覚えました。
しかしながら、「まばたき」をする間に80円を割れて79.75円を付けた瞬間にドルは反転、急騰したのです。
ほんの数分間に生じた歴史的瞬間でした。
■元来、相場と言うものは、終わった後からは、あれこれ後講釈でどうにでも解説出来るのですが、その瞬間の状況では、一寸先は闇の状況にあるようです。
その後、大蔵省(今の財務省)・日銀による大規模介入等もあって、ドル円相場は反転上昇の一途を辿ったのです。
あの世界的に著名な投資家であるジョージ・ソロス氏とフジテレビの「報道2001」という番組に出演したのが、1995年の8月20日(日曜日)のことでした。
ドル円相場が1ドル=97円前後で推移していた時期であり、市場センチメントは、まだまだドルに対して弱気、円に対して強気な局面だったようです。
テレビの中で、キャスター(黒岩氏、今もフジテレビ解説委員として同番組に出演されています)に、今後の相場予測をフリップに書いて下さいと言われ、私は1ドル120円から130円と書きました。
その番組を見ていた父が、何故あんな大胆な予測をするのかと心配してその夜に電話を掛けてきたのを昨日のように思い出されます。
父は、昔気質というか、私が市場の雰囲気とかけ離れてあまりに大胆な予測をして、外れでもして、会社内にて立場が悪くなるのを恐れ心配していてくれたようです。
それにしても、あの1995年4月19日の東京時間中の数分間の動きから始まって、1998年8月11日に147.64円のドル高値を付けるまで、僅か3年4カ月程度しか要しなかったことからも、為替相場とは如何に大きな変動を伴うものかということが分かります。
ちなみに、1995年4月19日の日足ローソク足の4本値は、オープン80.31円、高値81.70円、安値79.75円、終値81.35円でした。
特に際立って変動の大きい一日でもなかったのが分かります。
同様に、1998年8月11日の日足ローソク足の4本値はオープン146.45円、高値147.64円、安値146.00円、終値147.25円でした。
振り返ると、歴史的なピンポイントを付ける日が、それほど大きく変動した一日ではなかったのが興味深いです。
■あれこれ書きましたが、私が一体何をお伝えしたいかと言うと、相場というものは決して途切れてはいないということ、すなわち、1日の相場が5回続くと1週間の相場になり、20日程度続くと1か月の相場となる等々、全ては、1日の相場の積み重ねであるという当たり前の事実なのです。
1日の相場を丁寧に追いかけていけば、その結果として1年の相場も追いかけていることになるのです。
1日の相場とは、「目の前の現在の相場」と言い換えても良いかもしれません。
もっとも、1日の相場の分析を行うのに、1分足や5分足、もしくは60分足だけを用いれば良いと言っているのではありません。
1日の相場が、日足ベースではどうか、週足ベースではどうかと言う風に、全体の相場の流れの中でどの位置にあるのかを常に念頭に置くという意味でもあります。
分かり易く言い換えると、1日の相場を1分足や5分足のスパンモデル、そして60分足スパンモデルやスーパーボリンジャーなどで分析すると同時に、日足や週足ベースのスパンモデルやスーパーボリンジャーの中でどの位置にあるのかを確かめることが肝要だということです。
■「相場の現在性」を別の観点から説明すると、時間分析や価格分析を駆使して、現在の相場の位置を確認する作業が重要だということです。
今日現在の相場が、直近の高値(もしくは安値)から何日経過しているのか、週単位では、今週の相場が直近の高値(もしくは安値)を付けた週から何週経過しているのかは、常にチェックする必要があります。
また、直近だけでなく、ここ数か月単位での高値(もしくは安値)から、何日、何週間経過しているのかのチェックも必要です。
さらに、今日現在の価格が、直近の高値(もしくは安値)からどの程度の割合の位置にあるのか、また、ここ数か月単位での高値(もしくは安値)からどの程度の割合の位置にあるのか、チェックする必要があります。
特に、時間の分析は大きな柱となります。
「相場は時間である」とは、一目均衡表の創始者である一目山人翁がいみじくも仰った名言です。
また、あの若林栄四氏は、「相場は黄金分割である」と仰っています。
そして、やはり時間分析を殊のほか重視されています。
こうして見てくると、私は、相場の世界には「相場学」という研究分野が成立していると言っても過言ではないと思うのです。
■昨今の相場は、実に変動率(ボラティリティ)が高い状況が続いています。
1週間の中に、何度も大きな相場が訪れてくるかの印象すらあります。
いや、一日の中にすら、山あり、谷あり、相場変動は著しいです。
観点を変えると、それほど、収益チャンスが多いということでもあります。
もちろん、一歩間違えて、相場に乗り遅れると、損失の憂き目に逢うこともあります。
1日の中の相場から始まって、1週間、1か月、1年、相場は途切れなく続いていきます。
そして、全て、ある一定のリズムで動いているようです。
このリズムは、時と場合に応じて、微妙に変化します。
目の前の相場が如何なるリズムに乗って動いているのか、より大きな流れの中でどの位置にあるのか、常にチェックしながら、その流れに合わせることで「相場と友達」になっていきたいと思います。
詳細な相場分析は「有料メルマガ」にて行いたいと思います。
以上です。
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★★ところで、スパンモデルを紹介していただくのは大歓迎ですが、スパンモデル・スーパーボリンジャー・アクティベート時間分析は商標ですので、引用される場合には、どこかに以下のような記載をお願いします。
「スパンモデルはマーフィー氏の商標です」
「スパンモデル・スーパーボリンジャー・アクティベート時間分析はマーフィー氏の商標です。」
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