■先週の外国為替市場は、色々と「材料」はありましたが、結局のところ、右往左往しながらも、底固く推移する展開となりました。
月曜日、火曜日と下げ、週央、木曜日にかけて下値を試したものの、底抜けず反転、上昇に転じ、週末金曜日の海外市場にかけて続伸という結果となりました。
以下、ドル円相場を具体例にとり、少しばかり私の分析をご紹介したいと思います。
13日(金曜日)のニューヨーク市場終値をみると、ドル円相場は、日足スパンモデルのレジスタンスゾーンの上限を大きく上抜けて引けています。
また、日足スーパーボリンジャーのセンターライン、そしてプラス1シグマラインの上方にて引けており、ドル堅調な地合いをキープしています。
日足時間分析からは、2月5日に付けた92.25円が立ちはだかっていますが、より長い時間分析からは、ドル円相場上昇ステージに入っているとの判断に変更はありません。
最大の関所は、ここ最近の21日遅行スパンの動きです。
21日遅行スパン(通常は26日ベースの遅行スパンを見ますが、私は21日をパラメーターとした遅行スパンを重視しております)は、ここ最近の相場の動きとリズミカルに推移しているのが見てとれます。
ドル円相場の場合、21日遅行スパンは陽転(実態ローソク足の上方に位置)していますが、来週初以降しばらくの間、実態ローソク足が下げに転じる局面に差し掛かります。
要するに、ここ最近のリズムからいくと、遅行スパンが実態ローソク足に押し下げられる力が働くと予測されることです。
言い換えると、ドル円相場が来週初から週央にかけて押し下げられる可能性があるということです。
この場合でも、下落トレンドに入っていくと言うことではなく、あくまで上昇相場の過程での調整局面という読みをしています。
また、来週初以降に、さらに遅行スパンが上放れする場合は、ドル上昇トレンドがより鮮明になっていくものと考えます。
いずれにしましても、中長期の時間分析からは、ドル円相場が上昇トレンドのステージに入っているとの判断をしており、短期トレードについても基本は押し目買い先行での戻り売りのトレードが望ましいと考えています。
すなわち、基本ポジションはドルロングにしておき、日中の動きを生かしてドル買い増し、そして、高値圏と判断すれば利食いの売りを行いながらポジション調整をするスタンスです。
■ところで、世の中、一般的には、相場変動の原因を、ニュース、経済指標の発表等に求める傾向があります。
確かに、ある買い材料が発生して相場が上昇、もしくは売り材料が発生して相場が下落するという具合に書く方が、見た目には格好の良いレポートになり易いと言えましょう。
実は、私も昔、邦銀に勤務していた若い頃は、トレーダーをやりながら、毎日相場レポートを書いていました。1980年代半ばから後半のことです。
私の場合、東京にて充分な経験を積まず、研修を数か月受けただけで、いきなりニューヨーク支店に派遣されました。
そして、ニューヨーク支店のディーリングルームで為替ディーラーを始めたのですが、まだ新人でもありましたので、先輩の仕事を見たり、聞いたりして学びながら、何でもやっていました。
ニューヨーク市場の相場概況のレポート作成もその一つであり、日課でした。
作業としては、とにかく、その日のニューヨーク市場の動きをオープンから、クローズにかけて、時系列に出来るだけ「ファンダメンタルズ」材料を中心にまとめ上げることでした。
■ところで、市場参加者は、重要経済指標の発表にどうしても関心が向かいます。
何故ならば、マーケットは重要経済指標後に動きが活発化する傾向にあるからです。
私自身、毎日、経済指標の発表に目が釘付けになっていました。
具体的には、主に、事前に予想されている大方の予想値と実際に発表になった数値が良かったか、悪かったかを瞬時に判断するのです。
一般的には米国経済指標の発表数値が予想比良ければドル買われ、逆に、悪ければドル売られ、となるはずと教えられました。
しかしながら、実際のマーケットの動きは必ずしもそうはなりませんでした。
というか、現実問題、経済指標に関心が向かっているのは、発表直後の数分間だけでした。
この傾向は、現場のディーラーの中では、今も変わりないと思います。
数分もすれば、ディーラーは経済指標の結果などそっちのけで、マーケットの動きそのものにしか向かわなくなるのです。
ずばり、ディーラーの行動パターンというのは、相場が上がるから買う、下がるから売るというのが一般的なのです。
相場が上がっている最中に売り上がる(言い換えると、逆張り)ディーラーは、相当リスク許容度があるケースであり、すなわち、かなりのベテランディーラーに限られるようです。
ここで言う逆張りという売買は、中期的な相場観があって行うわけであり、ただ闇雲に逆張りすると言う意味ではありません。
ところで、通常は、上がる相場では買いで参入、下がる相場では売りで参入します。
これは、日中の動きについての話、すなわちデイトレードの場合です。
もっとも、宵越しでポジションを持つ場合、要するに、中長期に及ぶポジショントレードについても基本的には同様のことが言えます。
上昇トレンドと判断すれば、買いポジション中心で入り、下落トレンドと判断すれば、売りポジション中心で入ることが多いのです。
当り前のことですが、ディーラーの仕事、目的はお金を稼ぐことです。
決して、マーケットを「解説」「講釈」することではありません。
いくら理路整然と、マーケットの動きを説明出来たところで、お金を残さなければ、全く評価されないどころか、時間の問題でクビになります。
ですから、極論すると、相場が何故上がるか、下がるかには無関心なのです。
より安く買い、より高く売ること(より高く売り、より安く買う)だけを目指して、日夜勤しむわけです。
■さて、私が、ニューヨーク時代、毎日、その日の終わりに書いていた相場概況のレポートですが、思い出してみると、終わった相場を後から格好良く説明する為に、あれこれ材料をこじつけては「作文」をしていました。
例えば、貿易収支の発表があり、予想比大幅悪化(赤字幅拡大)となってドルが急落した場合などは、実に簡単にレポートが出来上がります。
しかしながら、予想比大幅悪化してもドルが下げなかった場合にどうするかと言うと、困ってしまうのです。
本来下がるはずの材料が出たにもかかわらず下げなかったわけですから、説明し辛くなります。
そこで、何ともありがたい「常套文句」があります。
すなわち、「材料出尽くし感」「ポジション調整」という実に便利な表現です。
しかし、いつもこの表現ばかり使っていると飽きられます。
そこで、今度は、奮発して、米金利の動向や米株価を引き合いに出します。
そうすると、少しはファンダメンタルズの内容が入り、見た目は確かにアカデミックな雰囲気のレポートとなり、「評価」されやすくなるのです。
さらに、工夫を加えようと、さすがニューヨーク市場の一線でやっているディーラーと見てもらうために、買い筋や売り筋の名前を挙げることも試しました。
ファンド筋、中東筋、ロシア筋、シカゴ筋、外銀筋、邦銀筋などという実に便利な表現があるのです。
もちろん、これらの投機筋からの注文を直接受けているのではあれば、信頼性はあるのですが、現実問題、そうとは限らないのが辛いところです。
他行にいるディーラー友人から間接的に聞いたとか、さらには又聞きとか、情報入手ルートは様々です。
ただ、それでも、実際に聞いたのであれば、許してもらえるのですが、問題は、聞いた先が本当のことを言っているのかどうかの確認が取れないのに、「相場材料」にでっち上げてしまうケースも多かったのが、正直なところ実情です。
一般的にみて、実際にはこのような実態が相当数起こっていることは、私がその後のディーラー人生の中で何度も経験したことです。
背景としては、「ヘッジファンド」「ファンド」「欧米投機筋」等々という名前に弱い日本人の性格もある意味利用されているように感じるくらいです。
■話は、かなり飛躍しましたが、私がお伝えしたいのは、世の中の相場解説、レポートには、必ずしも事実に基づいていない、怪しい情報が広く蔓延しているという事実です。
こんなことを書くと、批難されるかもしれませんが、それを覚悟で書いています。
そもそも、日本人がまともに有力ファンド筋の売買の情報を手にすることなど無理なのです。
実は、私が在籍した大手米銀でもこの類の情報は極秘で流れていました。
しかしながら、もし、情報を外に流せば、重要顧客売買情報を漏えいしたということで、最悪の場合、クビになるケースも見られました。
ですから、そもそも、貴重な情報が簡単に世の中に流れるわけがないのです。
ただ、ここで申し上げておかねばならないのは、私達が手に出来る有益な情報はやはり限られているということです。
そもそも、仮に、有力ヘッジファンドが大口の買い手(もしくは売り手)であることを知ったところで、それが実際の私達のトレードに役立つことは残念ながらあまり多くありません。
さらには彼らのトレード方針を知ったからと言って、それが上手くいく保証も何もありません。
ヘッジファンド自体、毎年幾つも生まれては退場していっていることも、それを物語っています。
私自身、昔から心掛けているのは、どんな有力ヘッジファンドの相場観、手口にも負けないような「最強のモデル」を生み出すことです。
要するに、自分が依って立つ「相場分析手法」をベストに近いものにしておけば、他の誰にも頼る必要などないわけです。
■さて、今回のメルマガ内容は、かなり偏った独断と偏見のようなものになってしまいました。
どうか、お許し願いたいと思います。
尚、私は、自分の相場観を、「スパンモデル」、「スーパーボリンジャー」というチャート分析、さらには、時間分析、価格分析によって構築しております。
これらは、全て、実際のトレードを如何に効率よく行うかをテーマに長きに亘る経験、実績に基づいて完成の域に近づけてきたものです。
私は、ポジションを取るに際して、まず、中長期の相場観を考え、構築します。
そして、出来るだけ、この中長期の相場観に基づいたポジションを毎日持ち続けます。
その相場観を持ちつつも、デイトレード(1日で完結)スイングトレード(数日間で完結)を行います。
基本ポジションのコストをどんどん改善していくような格好です。
これらの比較的短期のトレードに使う手法は、主に60分足スーパーボリンジャーと、60分足スパンモデル、そして5分足スパンモデルです。
中でも60分足スーパーボリンジャーは殊のほか便利であり、強力な武器となります。
何と言ってもトレンドの方向性、トレンドの強弱を教えてくれます。
60分足ベースですが、デイトレードでも、スイングトレードでもどちらでも使えます。
そして、日中の売買の究極のタイミングを教えてくれるのが、5分足スパンモデルです。
相場が短時間に大きく動く場合は、1分足スパンモデルも利用します。
要するに、相場の勢いに合わせて、時間の枠を決めるわけです。
具体的には、上昇相場の場合、相場の押し局面がサポートゾーンの上限に出来るだけ接触するぐらいの時間枠のスパンモデルを探し出すのがコツです。
例えば、急速に上昇する相場の場合は、60分足スパンモデルでは追い付きません。
そこで、相場のスピートに合わせて、時間を短くしていくのです。
例えば、30分足、15分足、5分足、1分足と言う風に探していくわけです。
相場の押しがサポートゾーンの上限に接触して、反発するぐらいの時間枠のスパンモデルが最適ということです。
この相場に適った最適の時間枠のスパンモデルを見出したなら、あとは、押し目をしっかりと拾っていくだけです。
そして、相場反転のタイミングが到来するまで、ポジションを継続、拡大していくわけです。
このように、実践トレードに即したチャートを「シンプルにパターン化」して使いこなすことが出来れば、鬼に金棒です。
この「シンプルにパターン化」出来るかどうかが、トレードで成功するかどうかのポイントです。
あとは、皆様がご自分の好きな時を見計らってトレードされるだけです。
この辺りの具体的なコーチング、指南を毎日させて頂くのが私の任務であり、ライフワークであると思っています。
以上です。
★ お知らせ ★
■私が主宰するブログは2つあります。
http://www.market-homeroom.jp/
http://www.span-model.com/
です。
内容は重複している部分もありますが、そうでないこともあり、どうぞ、ご参考にして頂ければ幸いです。
■時間分析に関する相場解説は、以下にご紹介する「マーフィーの実践トレードコーチング有料掲示板」と「ワカバヤシFX」においてのみ行っております。
ご興味のある方は、ぜひ、ご購読をお勧めします。
特に、デイトレード以外に、中長期でポジションを取られる方にとっては必読の内容となっております。
■私の「リアルタイムコーチングセミナー」のDVDを好評販売させて頂いております。
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こちらでは、実際のマーケットがオープンしている最中でのセミナーですので、まさにリアルタイムでの実践的なセミナーとなっています。
■毎日の私の相場解説やリアルタイムのコーチングをさせて頂く為の専用の「マーフィーの実践トレードコーチング有料掲示板」は益々充実しております。もちろん、「有料メルマガ」もついてきます。
http://www.eagle-fly.com/1/mur
にて、ご紹介をさせて頂いています。
週足や日足をベースとして中長期のトレードから、60分足、5分足、1分足をベースとして短期のトレードアイデア等々に至るまで、解説をさせて頂いております。
また、実際のマーケットの中でのリアルタイムでの相場解説、トレードコーチングも行っております。
質疑応答コーナーもあり、ご自由にご質問をして頂けます。
尚、こちらの有料掲示板を購読されますと、日本最大のFX有料メルマガ&掲示板である「新イーグル・フライ」(月額3,000円)を無料で1ヶ月分活用閲覧出来る特典が付いてきます。
■ところで、お陰様で、Eブック「マーフィーの最強スパンモデルFX投資法を伝授」は引き続き好評を頂いております。
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本書籍の内容は、160ページに亘り、私の相場分析に当たっての基本となる、投資哲学、分析手法である「スパンモデル」と「スーパーボリンジャー」(ボリンジャーバンドの応用分析モデル)について、詳しくまとめたものです。
普段から私の相場分析に慣れ親しんでおられる方はもちろん、これから相場に真剣に取り組まれようとする初心者の方、さらにはプロの方にとっても大変参考になるものと確信しております。
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